日曜の夜はいつもNHKの大河ドラマ「真田丸」を見ています。
役者によっては聞き取りにくいことがあるので、画面には台詞が字幕で
見られるようにしています。
今夜もドラマを見ていたら、字幕に「蝉しぐれ」と出ていました。そうか
今は蝉が啼いている場面か、と何気なく画面を追っていたのですが、何か
変だなとよくよく考えてみたら、蝉の啼き声が聞こえていないのです。
家内に訊いてみると「いま蝉がやかましく啼いているやん」と言うではな
いですか。しかし私の耳には蝉の声が聞こえて来ないのです。私の耳に響
いてくるのは、いつものキィーンという高い音のみです。
もう数年前から両耳は老化現象でキィーンという高音が鳴っていて、寝る
前などは特に煩わしく感じていたのですが、まさかテレビの蝉しぐれの音
が聞こえなくなってしまったとは。
そういえば、以前にもテレビの風鈴の音が聞こえていないことがありまし
た。どうもある一定の高音域の音が聞こえなくなっているようです。老化
現象という滲みが少しずつ広がってきています。
先日の句会で「蝉の昼母の小言も交じりをり」という句を作りました。
蝉しぐれのやかましい昼のひととき、母の小言も蝉の声に交じって一緒に
聞こえてくる、という意味合いですが、もうすぐ裏山で啼きだすであろう
本当の蝉しぐれが、もしテレビの声と同じように聞こえてこなかったら、
母の小言しか耳に入って来ないということになります。大変なことです。
夏帽のゆったりと行く防波堤 虚知
Natsubou no yuttari to iku bouhatei
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