「行かねばなるまい」(杉山久子)を読み終えました。
杉山さんは山口県出身で、将来を嘱望されている女性俳人です。
第3回藍生新人賞、第2回芝不器男俳句新人賞を受賞。
「藍生」「いつき組」所属。
句集に「春の柩」「猫の句も借りたい」「鳥と歩く」などがあります。
「行かねばなるまい」は、四国八十八ヶ所を一人で旅したときのエピソードを、
面白おかしく描いたエッセイ風の読み物です。女一人の遍路旅がどんなに大変
であるかが、この本を読んでいるとよくわかります。
人入れて春の柩となりにけり
うぐひすに裁かれたくもある日かな
あをぞらのどこにもふれず鳥帰る
手花火の果て水底にゐるごとし
どうしろといふの目高を二匹くれて
ゆふぐれの背をはなびらに打たれをり
鳥渡る奈落の柱つめたかり
あをぞらを痛しとあゆむ冬の蜂
オリオンの方へかたむく初荷かな
七人といはず敵ゐて鯨喰ふ
以上、杉山久子 句集「春の柩」より抜粋。
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